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現場の1か月作業を30分に短縮。Box活用で進む建設DX
大手ゼネコンとして数多くの現場を抱える鹿島建設株式会社様。現場ごとに発生する膨大な書類や図面データを、より効率的に管理するため、Boxを活用した新しい情報共有システムを構築しました。本プロジェクトを担当された建築管理本部の小川様、三田様に、導入の背景や取り組みのポイント、そして今後の展望について伺いました。

左から鹿島建設株式会社三田尚貴様、小川竜一様
クライアント情報:
- 建築管理本部 建築企画部 建築ITグループ 課長代理 小川竜一様
- 建築管理本部 建築企画部 建築ITグループ 主任 三田尚貴様
課題:
- 現場担当者がオンプレミスのサーバーを導入・設置し、その後、情報システム部門が手作業でフォルダや権限設定を行っていたため、環境構築に約1か月を要していた
- サーバー障害時の復旧に時間が掛かり、セキュリティパッチ適用などの運用負荷も高かった
- 社外との情報共有環境を別途、構築していたため、社内外のシームレスな情報共有ができなかった
効果:
-
Boxと社内システムの連携により、フォルダ作成と権限設定を自動化し、構築時間を約1か月から30分へ短縮
- 導入時の作業負荷を大幅に軽減し、現場担当者の業務を本業にシフト
- 高い可用性を持ち、国際的なコンプライアンス・セキュリティ規格に準拠した環境を、運用負荷ゼロで実現
- 入手前・竣工後など、業務全体でのデータ活用を見据えた仕組みへ進化
目次:
お客様インタビュー:
背景:現場サーバー運用の限界と、Box導入を決断した理由
— 今回、数あるIT企業の中から当社にご依頼いただいた背景について教えてください。

鹿島建設株式会社小川竜一様
鹿島建設 小川様
もともとJOPSさんとは長いお付き合いがありまして、私が担当する以前から継続的に実績を積んでいただいていました。その信頼関係があったことが、今回のご依頼につながっています。
以前、当社の建築部門では「KTMS進捗管理システム」という現場の書類保管・管理システムをJOPSさんに作っていただいていました。このシステムでは、現場ごとのフォルダ構成や運用方法など、当社の業務をよく理解したうえで構築してもらっていたのです。
そこで今回、「Box」を使った新しい情報共有環境を整備するにあたっても、既存の業務を深く理解しているJOPSさんなら安心して任せられると判断しました。
— なるほど。もともとの信頼関係が土台にあったのですね。具体的には、どのような課題があったのでしょうか。
鹿島建設 小川様
以前は、各現場にサーバーを設置してフォルダを作り、権限を付与して……と、手作業での業務が多く発生していました。設置や調達、接続なども現場社員が担当しており、環境が整うまでに1か月ほどかかることもありました。それをBoxに置き換えて、現場での手間を減らし、情報共有をよりスピーディに行えるようにすることが、当初の目的でした。
取り組み:システムとBoxの連携により、現場業務を自動化
— Boxを導入するにあたって、どのような方針で進められたのでしょうか。
鹿島建設 小川様
既存の「KTMS進捗管理システム」の中にBoxのフォルダ作成・管理機能を組み込む形でスタートしました。最初は既存の仕組みを活かして、施工現場向けのフォルダ作成を自動化する、というアプローチですね。
ただ、Boxを利用するシーンが今後どんどん広がっていくことを見据えて、このフォルダ作成・管理機能を独立したシステムとして再構築する方針に切り替えました。
施工中だけでなく、入札活動の段階や竣工後のアフターメンテナンスなど、幅広い業務で使えるようにしていきたいと考えています。
— 最初から将来の拡張を見据えていたのですね。
鹿島建設 小川様
そうです。構想自体は最初からありました。まずは既存システムの中で機能を実現し、その後に独立化して拡張していくという段階的な進め方です。「後から別システムにしよう」ではなく、最初から拡張性を意識した設計にしてもらいました。JOPSさんもその意図をしっかり理解してくれて、技術的にも将来を見据えた構成にしてくれたので、とても助かりました。
技術面でも、JOPSさんには非常に助けられました。今回のシステムでは、Blazor Serverなどの新しい技術も採用しています。当社は以前から .NET 環境を採用しており、その資産を活かしながらクラウドネイティブな仕組みへと進化できたのは大きな成果です。
JOPSさんは新技術を“単に導入する”のではなく、「安定して長く使える構成」を重視して提案してくれた点が印象的でした。新しすぎて運用に不安が残るものは避け、現場運用を見据えたバランスの取れた選定をしてくれたのは心強かったです。
こうした技術提案力があるからこそ、建設業界特有のワークフローにもフィットする“現場で動くDX”を実現できたと思います。
— 開発中のやり取りはどんな雰囲気でしたか?

鹿島建設株式会社三田尚貴様
Teamsで常にコミュニケーションを取りながら進めました。定例会だけでなく、チャットで日常的に質問・相談ができる環境を作ってもらったのが大きかったです。
こちらがすぐに相談したいときにレスポンスも早くて、物理的に離れていても全くストレスがなかったですね。
成果:1か月かかっていた準備作業を30分に短縮
— 実際にシステムを導入してみて、どんな成果がありましたか?
鹿島建設 小川様
一番大きいのは、現場の作業効率が格段に上がったことです。以前は、現場サーバーの準備やフォルダ作成、権限設定などに1か月ほどかかっていたのですが、今では 30分程度で完了 するようになりました。これは本当に革新的でしたね。
Boxのフォルダ構成や権限付与が自動化されたことで、「使いたいと思ったタイミングですぐ使える」ようになりました。以前は暫定で別の場所にファイルを置いて、現場サーバーの準備後に移行するような二度手間が発生していましたが、それもすべて解消されました。
また、既存のシステムと連携しているため、現場担当者の情報を自動で取得して権限を設定するなど、人の手を介さず正確に管理できる仕組みになっています。
その結果、現場社員の負担軽減にも大きく貢献できました。建設業界では残業規制が強化されていますが、この取り組みはそうした「現場の負荷を減らす」方向にも直結しています。
今後の展望:現場の負荷軽減とデータ活用で描く、建設DXの次なる一手
— 今後の展開について教えてください。
鹿島建設 小川様
今後は、このBox連携の仕組みを「施工中」だけでなく、入札前の段階(入手活動)や竣工後のメンテナンスフェーズにも広げていく予定です。すでに入手段階でのフォルダ作成機能について要件定義を進めており、より幅広いシーンで活用できる仕組みにしていきたいと考えています。
また、現場の負荷軽減というテーマは今後も最優先です。現場が入力作業をしなくても済むような仕組みを増やし、社員が本来の業務に集中できるようにしていきたいですね。
さらに、これまで蓄積してきたデータを統合して活用する取り組みも進めています。
過去の案件データを分析し、次の現場や入札活動にフィードバックできるような仕組みを整えたい。たとえば、似た規模の現場でどんなリスクがあったかを可視化し、事前に対策できるようにすることが目標です。
— なるほど、データ活用も視野に入っているのですね。
鹿島建設 小川様
はい。今はデータが少しずつ蓄積されてきた段階なので、これをどう“生かす”かが次のフェーズです。JOPSさんのように長く当社のシステムや文化を理解しているパートナーと一緒に、より実用的な仕組みを作っていければと思っています。

左から鹿島建設株式会社三田尚貴様、小川竜一様
JOPSスタッフ一同より:
今回の取り組みは、JOPSにとっても非常に意義のあるプロジェクトでした。
これまで当社は、業務システム構築やクラウド化を多数支援してきましたが、現場業務に密着した「自動化」と「連携」をここまで深く実装したのは初めての試みでした。
鹿島建設様は、システムを単なるツールとしてではなく、“現場の負荷を減らす仕組み”として捉えておられ、その思想を共有しながら設計段階から一緒に考え抜くことができました。Boxと既存システムを連携させ、現場が「すぐ使える」「迷わず使える」仕組みに仕上げられたのは、まさにその対話の成果だと思います。
「導入して終わり」ではなく、現場の声を聞きながら改善を重ねる──。このプロジェクトで得た知見をもとに、今後も建設業界におけるDX支援を広げていきたいと考えています。
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