自己学習型AIでセキュリティ監視を支援する「Darktrace」
企業を狙うサイバー攻撃は、年々巧妙になっています。
これまでのセキュリティ対策では、すでに知られている攻撃や不審なプログラムを見つけて防ぐ方法が一般的でした。しかし最近では、正しいIDやパスワードを盗んで社内システムに侵入したり、取引先や社員になりすましたメールを送ったりするなど、通常の利用に見せかけた攻撃も増えています。
そのため、単に「過去に確認された攻撃と同じか」を調べるだけではなく、社内で発生している「いつもと違う動き」に気づくことが重要になっています。
こうしたセキュリティ監視を、自己学習型AIによって支援する製品が「Darktrace」です。
Darktraceとは
Darktraceは、ネットワーク上の通信を監視し、不審な動きを検知・対応するNDR(Network Detection and Response)の機能を持つセキュリティ製品です。
現在はネットワークに加え、メール、ID・アカウント、クラウド、端末など、企業のさまざまなIT環境を横断的に監視する統合型のセキュリティプラットフォームとして提供されています。
Darktraceの大きな特徴は、それぞれの企業における普段の利用状況をAIが学習することです。
例えば、次のような情報を継続的に確認します。
- 誰が、いつ、どのシステムを利用しているか
- どの端末からアクセスしているか
- 普段はどのような相手とメールをやり取りしているか
- どの程度のデータを送受信しているか
- 社内の端末やサーバーが、どのように通信しているか
こうした普段の状態をもとに、「いつもとは違う時間帯にアクセスしている」「普段使わないサービスを利用している」「通常より多くのデータを送信している」といった変化を見つけます。
一般的な攻撃パターンだけで判断するのではなく、その企業にとって不自然な動きを検知する点がDarktraceの特徴です。
Darktraceの主な特徴

企業ごとの普段の状態をAIが学習する
企業によって、働き方や利用するシステム、日々の通信量は異なります。
例えば、日常的に大量のデータを扱う社員と、限られたシステムしか利用しない社員では、同じ操作でも不審かどうかの判断が変わります。
Darktraceは、企業全体を一つのルールで判断するのではなく、社員や端末、システムごとの普段の使われ方を学習します。
そのため、それぞれの企業や利用者に合わせて、異常な動きを見つけやすくなります。
これまでにない攻撃にも気づきやすい
従来のセキュリティ製品は、すでに知られているウイルスや攻撃方法を見つけることを得意としています。
一方で、新しい攻撃方法や、正しいID・パスワードを悪用した不正アクセスは、既知の攻撃情報と一致しないため、発見が難しい場合があります。
Darktraceは、攻撃の方法そのものだけでなく、攻撃によって起こる不自然な動きに注目します。
例えば、次のような変化です。
- 普段とは異なる場所からログインしている
- 短時間に多くのファイルへアクセスしている
- 通常は利用しないシステムを操作している
- 社外へ大量のデータを送信している
こうした変化を捉えることで、これまでに確認されていない攻撃や、アカウントの乗っ取りなどにも気づきやすくなります。
メールやIDなどの異常をまとめて確認できる
サイバー攻撃は、一つのシステムだけで完結するとは限りません。
例えば、不審なメールをきっかけに社員のIDやパスワードが盗まれ、その後、クラウドサービスへ不正にログインされることがあります。さらに、社内データを閲覧されたり、外部へ持ち出されたりする可能性もあります。
このような場合、メール、アカウント、クラウドサービスなどで、それぞれ異なる不審な動きが発生します。
Darktraceは、複数の場所で発生した異常を関連付けて分析します。
個別の警告を一つずつ確認するだけではなく、「どのような流れで問題が起きているのか」を把握しやすくなる点も特徴です。
確認すべき問題を絞り込む
企業では、さまざまなセキュリティ製品やシステムから、多くの警告や記録が出力されます。
しかし、すべての内容を人が一件ずつ確認するのは簡単ではありません。担当者が少ない企業では、確認が追いつかず、本当に重要な警告を見落とす可能性もあります。
Darktraceは、通常とは異なる動きをAIで分析し、特に確認が必要なものを分かりやすく提示します。
AIがセキュリティ担当者の代わりにすべてを判断するわけではありませんが、大量の情報の中から注意すべき問題を絞り込むことで、調査や対応を支援します。
Darktraceが対応する主な領域
Darktraceは、メールだけ、パソコンだけといった特定の場所に限らず、企業のさまざまなIT環境を監視できます。
メール
メールの送信者や受信者、本文、リンク、添付ファイルなどを分析し、不審なメールを見つけます。
単に危険な言葉やURLが含まれているかを確認するだけではありません。普段のメールのやり取りや、送信者と受信者の関係も踏まえて判断します。
そのため、次のような攻撃への対策に活用できます。
- 実在する企業や社員になりすましたメール
- IDやパスワードを入力させる偽のメール
- 振込先の変更などを依頼する不正なメール
- 乗っ取られた取引先のアカウントから送られるメール
ID・アカウント
社員がシステムへログインする際のIDやアカウントの使われ方を確認します。
例えば、次のような動きを検知します。
- 普段とは異なる場所からのログイン
- 深夜や休日など、通常とは異なる時間帯の利用
- 普段利用しないサービスへのアクセス
- 短時間に繰り返される操作
- 通常とは異なる権限の利用
- 退職予定者や退職者のアカウントによる、通常とは異なるアクセスやデータ操作
正しいIDとパスワードが使われていても、普段とは違う使われ方をしている場合には、アカウントが乗っ取られている可能性があります。
また、退職予定者が短期間に多くのファイルを取得している場合などを不自然な動きとして把握できます。
Darktraceは、このようなアカウントの不審な利用を早く見つけるために役立ちます。
社内ネットワーク
社内のパソコンやサーバーが、どこへ、どのような通信を行っているかを確認します。
例えば、ウイルスに感染したパソコンが外部の不審なサーバーへ接続している場合や、社内の別の端末へ次々にアクセスしている場合などを検知します。
攻撃が社内に広がる前に異常を把握することで、被害の拡大防止につなげます。
クラウドサービス
Microsoft 365をはじめとしたクラウドサービスの利用状況も監視できます。
現在は、社内のサーバーだけでなく、メールやファイル共有、業務システムなど、多くのサービスがクラウド上で利用されています。
そのため、社内ネットワークだけを確認していても、企業全体の状況を把握することは難しくなっています。
Darktraceは、複数のクラウドサービスや社内環境で発生した動きをまとめて分析し、異常の発見を支援します。
既存のセキュリティ対策を補う製品
Darktraceを導入すれば、ほかのセキュリティ対策が不要になるわけではありません。
企業のセキュリティ対策には、それぞれ異なる役割があります。
例えば、ファイアウォールは、社内と社外の通信をルールに基づいて制御します。ウイルス対策ソフトやEDRは、パソコンやサーバー上で発生する不審な動きを監視します。メールセキュリティ製品は、危険なメールが社員へ届くことを防ぎます。
Darktraceは、こうした既存の対策と組み合わせながら、企業内の普段の状態と異なる動きを見つける役割を担います。
既知の攻撃を防ぐ対策に加えて、異常な振る舞いを見つける仕組みを取り入れることで、より多くの視点からセキュリティ上の問題を確認できるようになります。
このような課題がある企業に適しています
Darktraceは、特に次のような課題を抱えている企業に適しています。
- Microsoft 365やクラウドサービスを全社で利用している
- 不審なメールへの対策を強化したい
- IDやパスワードの悪用を早く見つけたい
- セキュリティ製品から出る警告が多く、確認が追いつかない
- システムの利用記録を取得しているが、十分に活用できていない
- 専任のセキュリティ担当者が少ない
- メール、アカウント、ネットワークをまとめて監視したい
- 既存のセキュリティ対策をさらに強化したい
- 退職や異動に伴うアカウントの不正利用や情報持ち出しにも備えたい
一方で、製品を導入するだけで、すべての問題が自動的に解決するわけではありません。
検知された問題を誰が確認し、どのように対応するのかを事前に決めておくことが重要です。また、自動的に通信やメールを止める場合は、通常業務への影響も考える必要があります。
自社の環境や運用体制に合わせて、どこまでを製品に任せ、どこからを人が判断するのかを整理することが、安定した運用につながります。
当社でもDarktraceを導入しています
日本オープンシステムズ(JOPS)では、Microsoft 365環境における不正メールやIDの不正利用への対策として、Darktraceのメールセキュリティ製品とID監視製品を導入しています。
導入の背景や製品を選んだ理由、実際の運用方法、導入後の効果については、MOTEX様の導入事例でご紹介いただいています。
Darktraceで不正メール攻撃やID悪用を自動で検知、省力化運用を支援AI駆動のセキュリティアナリストが守るMicrosoft 365環境
自社での導入・運用経験に加え、サイバーセキュリティ支援サービス「JCSS」の知見を活かし、製品導入だけでなく、現状の課題整理やセキュリティ診断、導入後の運用までトータルで支援します。
関連リンク
セキュリティサービス
- JCSS(JOPS Cyber Security Service)
セキュリティ診断や各種テスト、標的型攻撃メール訓練、セキュリティ対策コンサルティングなどを通じて、企業のセキュリティ課題を幅広く支援するサービスです。 - セキュリティ診断・対策サービス
現在のセキュリティ対策やリスクを整理し、必要な対策の検討を支援します。
導入事例
以下では、当社が実際にセキュリティ対策を見直し、製品を導入・運用した事例をご紹介します。導入時にどのような課題があり、どのような考え方で対策を選んだのかを知ることで、自社の監視範囲や運用体制を検討する際の参考にしていただけます。
- LANSCOPE導入事例:Aurora ProtectとAurora Focusの連携によりマルウェア検知後の初動対応の早期化を実現
EPPとEDRを組み合わせ、脅威の予防から検知後の調査、初動対応までを強化した事例です。 - LANSCOPE導入事例:Darktraceで不正メール攻撃やID悪用を自動で検知、省力化運用を支援
Microsoft 365環境における不正メールやID・アカウントの不正利用への対策を強化した事例です。
JOURNAL|課題解決ヒント
- セキュリティ監視のEDR・NDR・XDRとは?それぞれの監視対象と役割を整理
EDR・NDR・XDRがそれぞれ何を監視するのか、役割の違いと、自社に必要な監視範囲を考えるポイントを紹介しています。
